プロモーション映像の仮ナレーション収録とSE挿入|会議3分前まで音を磨くOto-Niwaの制作現場


プロモーション映像の仮ナレーション収録とSE編集を行う制作環境。掲載内容はクライアント案件を特定するものではありません。
この記事の要点
- 仮ナレーションは、映像の尺、話す速度、言葉の伝わり方を編集段階で確認するための暫定的な音声です。
- SE(効果音)も早い段階で加えると、映像のテンポや演出意図をクライアントと共有しやすくなります。
- 小さなウィスパーボイスを収録するときは、マイク選びだけでなく、距離、入力ゲイン、部屋の静かさを含めたS/Nへの配慮が重要です。
- 松山市道後のOto-Niwaでは、仮ナレーション収録、SE・BGM挿入、音声編集、ミックス、マスタリング、MAまで相談できます。
この記事は、プロモーション映像へ仮ナレーションやSEを入れる目的、実際の音声制作工程、ウィスパーボイスを録る際の注意点を知りたい方へ向けた制作記録です。
今日は、プロモーション映像に仮ナレーションを入れ、SEを配置する作業をしています。
私は映像を制作するだけでなく、案件によっては自分でナレーションやモノローグを収録することがあります。今回も、映像の完成形をクライアントにイメージしていただくため、自分の声で仮ナレーションを入れました。
そして今、クライアントとの会議開始まで、あと3分。
書き出しは、まだ終わっていません。
さて、間に合うのでしょうか。
仮ナレーションとは?SEを早い段階で入れる理由
仮ナレーションとは、映像の編集段階で尺、話す速度、言葉の伝わり方を確認するために入れる暫定的な音声です。本番のナレーターが収録する前でも、実際に声を入れることで、文字だけでは分からなかった映像との相性が見えてきます。
例えば、原稿としては自然に読める文章でも、映像に合わせると少し長いことがあります。反対に、映像の余白に対して言葉が少なく、間延びして感じることもあります。
声を入れて初めて分かるのは、次のような点です。
- ナレーションが映像の尺に収まるか
- 話す速度に無理がないか
- 映像と声の温度感が合っているか
- 言葉を入れすぎて、映像の印象を邪魔していないか
- クライアントが完成形を想像できる状態になっているか
SEも同じです。
SEは、場面転換を分かりやすくしたり、動きに手触りを加えたり、視線を向けてほしい瞬間を音で支えたりします。派手に鳴らせばよいわけではありません。映像の目的に合わせて、必要な場所へ必要な量だけ置くことが大切です。
仮ナレーションとSEを早めに入れておくと、クライアントとの確認時に「完成すると、だいたいこのような雰囲気になります」と、言葉だけではなく音を含めて共有できます。
NuendoとPro Tools、どちらも普段使っています
普段の制作では、SteinbergのNuendoとAvidのPro Toolsを両方使っています。
Nuendoは映像に合わせた音声編集やポストプロダクションで使われるDAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)です。Pro Toolsも、録音、編集、ミックスをはじめ、映像に同期した音声制作に広く使われています。
どちらが常に上という話ではありません。案件の内容、受け渡すデータ、前後の制作工程などに合わせて使い分けています。
ただ、2つのソフトを行き来していると、たまにショートカットが頭の中で混在します。
今のはNuendoのショートカットだったか。それともPro Toolsだったか。
急いでいるときほど、一瞬だけ手が止まることもあります(笑)。
便利な機能をたくさん覚えても、最後は人間が操作しています。こういう小さな混乱も含めて、制作現場らしい時間だと思います。
ウィスパーボイスを収録した今日のセッティング
今回の仮ナレーションは、ふんわりとしたウィスパー寄りの声です。
大きく張った声とは違い、息の質感や声の近さが映像の印象を左右します。そこで今日は、AKG C414 XLIIをオンマイクで使いました。
AKG C414 XLIIをオンマイクで使う
AKG C414 XLIIは、9つの指向性を選択できるラージダイアフラムのマルチパターン・コンデンサーマイクです。ボーカルやソロ楽器をはじめ、幅広い収録で使われています。

今回のようなウィスパーを近い距離で録ると、低域が少しふくらむ近接効果が生まれます。そのまとまり方が、今回の声には心地よく感じられました。
Neumann U 87 Aiも、スピーチやボーカルで信頼されている素晴らしいマイクです。ただし、いつも同じマイクが正解とは限りません。
今回は、C414 XLIIの扱いやすさと、声の輪郭を保ちながら近さを作りやすいところが、ふんわりしたオンマイクの声に合っていました。これはマイクの絶対的な優劣ではなく、今回の映像と声に対する私の選択です。
ポップフィルターはSTEDMAN Proscreen
オンマイクでは、息や「パ」「バ」といった発音の破裂音がマイクへ届きやすくなります。
そこで、ポップフィルターにはSTEDMANのProscreenを使用しました。金属製スクリーンで気流をマイクカプセルから逃がす構造のため、声の近さを保ちながら破裂音を抑えたいときに頼りになります。

マイクへ近づけば、それだけで良い音になるわけではありません。距離、角度、発声、ポップフィルターを一緒に調整して、狙う質感へ近づけていきます。
小さな声だからこそ、S/Nを大切にする
HA(ヘッドアンプ/マイクプリアンプ)には、いつものSolid State Logic(SSL)XL-Desk内蔵VHDマイクプリアンプを使いました。

私は、この環境のノイズ感の少なさに信頼を置いています。
ウィスパーボイスは入力レベルが小さいため、後段で音量を持ち上げると、マイクやプリアンプの自己雑音、部屋の暗騒音も一緒に目立ちやすくなります。だからこそ、録音段階で十分なS/Nを確保しておくことが大切です。
S/N比とは、必要な音声であるSignal(信号)と、Noise(ノイズ)の比率です。数値だけで決まるものではありませんが、静かな声をきれいに届けるには、次の要素をまとめて考える必要があります。
- 部屋の空調音や外部ノイズを減らす
- マイクと口元の距離、角度を調整する
- 必要な声量を無理なく引き出す
- 過不足のない入力ゲインを設定する
- 後処理で持ち上げすぎなくてもよい素材を録る
プラグインでノイズを処理することはできます。しかし、収録時にきれいな素材を作ることが、最終的にはいちばん自然で速い方法です。
今日使った、手早く音を整えるプラグイン
今回使ったのは、操作が分かりやすく、短時間で狙う方向へ近づけやすいプラグインたちです。
| 製品 | 主な役割 | 今回の使い方 |
|---|---|---|
| Waves Renaissance Vox(R-Vox) | 声のダイナミクス調整 | 声量差をまとめ、ナレーションを前へ出しやすくする |
| Auburn Sounds Panagement | 定位・距離感・空間の調整 | 映像内での声や音の収まりを確認する |
| FabFilter Pro-Q 4 | イコライザー | 不要な帯域を整理し、声の聞き取りやすさを整える |
| Cradle The God Particle | マスター向け複合処理 | 全体の質感、まとまり、音圧の方向性を短時間で確認する |
いまも頼れるWaves Renaissance Vox
まずはWaves Renaissance Vox、通称R-Voxです。

ゲート、コンプレッション、出力ゲインというシンプルな構成で、声を素早くまとめられます。長く使われてきたプラグインですが、時間の限られた仮ミックスでも、いまなお頼れる存在です。
無料版もあるAuburn Sounds Panagement
空間づくりにはAuburn Sounds Panagementを使いました。

定位や距離感、広がりを直感的に調整でき、無料版も用意されています。映像では、音が良いだけでなく、その音が画面のどこに、どのくらいの距離感で存在しているように感じるかも重要です。
EQは、いつものFabFilter Pro-Q 4
イコライザーは、いつものFabFilter Pro-Q 4です。

画面上で周波数の状態を確認しながら、気になる帯域へ素早くアクセスできます。ウィスパーの柔らかさを残しつつ、聞き取りにくさにつながる部分を整理したいときに便利です。
マスターにはCradle The God Particle
マスターにはCradleのThe God Particleを使用しました。
これは単なるリミッターではなく、複数の処理とアダプティブ・リミッターをまとめた、マスター向けの複合オーディオエフェクトです。今回の素材では、少ない操作で全体の質感とまとまりを確認しやすく感じました。

もちろん、挿せば必ず良い音になるわけではありません。入力レベルを整え、処理前後を聴き比べ、映像の目的に合っているかを判断することが前提です。
機材やプラグインより先に考えること
ここまで機材やプラグインを紹介しましたが、高価な機材や有名なプラグインを使うこと自体が目的ではありません。
大切なのは、映像を見た人へ何を伝えたいのかです。
声が近すぎて映像より目立っていないか。SEが多すぎて内容に集中できなくなっていないか。スマートフォンの小さなスピーカーでも、言葉と感情が伝わるか。
ナレーション、BGM、SEは別々の素材ですが、視聴者には一つの映像作品として届きます。だからこそ、収録から編集、MAまでを一つの流れとして考えます。
映像MAとは
MAとは、映像にナレーション、BGM、SEなどを配置し、音量、音質、タイミングを整えて完成音声に仕上げる工程です。
派手な音にすることではなく、伝えたい内容が無理なく届く状態へ整える。それが映像における音の仕事だと考えています。
仮ナレーション収録から映像MAまでの流れ
Oto-Niwaへご相談いただく場合、素材の状態や制作範囲に応じて進め方は変わります。基本的な流れは次のとおりです。
- 用途と条件を確認する:公開媒体、映像の尺、希望納期、ナレーター手配の要否、納品形式を確認します。
- 仮ナレーションを収録する:映像へ声を当て、原稿量、話す速度、声の温度感を確かめます。
- SE・BGMを仮配置する:場面転換や動きに合わせ、必要な音を必要な量だけ加えます。
- 映像と音を一緒に確認する:クライアントと完成イメージを共有し、原稿、タイミング、音量などを調整します。
- 本番収録とMAを行う:確定した方針に沿って本番音声を収録・編集し、ナレーション、BGM、SEをまとめます。
- 指定形式で納品する:使用媒体や次工程に合う音声・映像形式で書き出します。
仮ナレーションの段階で課題を見つけると、本番収録後の大きな修正を減らしやすくなります。早い段階で音を入れることは、仕上がりを確認するだけでなく、制作関係者の認識をそろえるためにも役立ちます。
会議開始まで、あと3分
音のバランスを確認して、最終書き出しを開始します。
クライアントとの会議まで、あと3分です。
さてさて、クライアント様に聴いてもらおう!
……書き出し、間に合え〜〜〜。
こうした慌ただしい瞬間もありますが、仮ナレーションとSEが入った映像なら、画面を見ながら具体的な意見を交わせます。声の温度感、言葉の長さ、SEの強さなどを一緒に確認し、完成へ近づけていきます。
松山市のOto-Niwaではナレーション収録から映像MAまで対応
松山市道後緑台のOto-Niwaでは、仮ナレーションや正式なナレーションの収録に加え、音声編集、SE・BGM挿入、ミックス、マスタリングまで一つの流れで対応しています。
すでに映像素材や仮編集データがある場合は、音声工程のみのご相談も可能です。「まずは声を入れて完成形を確かめたい」という段階でも、お気軽にご相談ください。
ご相談時に、映像の用途、おおよその尺、希望納期、ナレーター手配の要否が分かると、より具体的にご案内できます。
よくある質問
仮ナレーションは、本番ナレーションと何が違いますか?
仮ナレーションは、映像の尺、言葉の量、話す速度、演出の方向性を編集段階で確認するための暫定音声です。本番では、確定した原稿と演出方針に基づき、必要に応じてプロのナレーターが収録します。
プロモーション映像でSEを入れる目的は何ですか?
場面転換を分かりやすくしたり、動きに手触りを加えたり、視線を向けてほしい瞬間を音で支えたりするためです。量を増やすことよりも、映像の目的に合う音を適切な位置へ置くことが重要です。
ウィスパーボイスの収録でノイズを抑えるポイントは何ですか?
静かな収録環境を整え、口元とマイクの距離・角度を調整し、適切な入力ゲインを設定することが基本です。小さな声は後処理で音量を上げた際に周囲のノイズも目立ちやすいため、収録段階で十分なS/Nを確保します。
NuendoとPro Toolsは、どちらを使うべきですか?
案件の内容、映像との連携、共同作業者、納品形式などによって適した環境は変わります。どちらかが常に優れているわけではなく、制作フローに合わせて選ぶことが大切です。
Oto-Niwaへナレーション収録やMAだけを依頼できますか?
はい。映像制作全体だけでなく、ナレーション収録、音声編集、SE追加、MAなど、音声工程のみのご相談にも対応しています。素材の状態やご希望の納品形式を確認したうえでご案内します。
製品名・技術情報の確認先
- Steinberg Nuendo
- Avid Pro Tools
- AKG C414 XLII
- Neumann U 87 Ai
- Solid State Logic XL-Desk
- STEDMAN Proscreen
- Waves Renaissance Vox
- Auburn Sounds Panagement
- FabFilter Pro-Q 4
- Cradle The God Particle
ナレーション収録・映像MAのご相談
仮ナレーション、正式なナレーション収録、SE・BGM挿入、ミックス、MAなど、必要な工程を組み合わせてご相談いただけます。
